今回は『水車小屋のネネ』津村記久子をご紹介します。
本作は2024年本屋大賞で2位を獲得した作品です。
1981年から2021年までの10年刻みで、姉妹としゃべる鳥のネネの人生を追っていきます。
『水車小屋のネネ』のあらすじ
誰かに親切にしなきゃ、
人生は長く退屈なものですよ18歳と8歳の姉妹がたどり着いた町で出会った、しゃべる鳥〈ネネ〉
ネネに見守られ、変転してゆくいくつもの人生――助け合い支え合う人々の
40年を描く長編小説毎日新聞夕刊で話題となった連載小説、待望の書籍化!
『水車小屋のネネ』毎日新聞出版公式サイトより引用
理由あって若くして親元を離れた姉妹の理佐と律。
たどり着いた町で2人で「なんとか」生活していかなくてはなりません。
鳥のネネや地域の人々に支えられ、2人の生活が始まります。
『水車小屋のネネ』の感想・レビュー
POINT1:姉妹の二人暮らし
短大の入学金を母とその恋人に使いこまれてしまい、理佐は進学できなくなってしまいました。
将来の道行に悩み、家を出て独立することを決意します。
時を同じくして、小学2年生の妹・律が、母の恋人から虐待を受けていることを理佐は知りました。
「家出ようと思うんだけど、一緒に来る?」
『水車小屋のネネ』p.37より引用
こうして高校を卒業した理佐は、お蕎麦屋さんで働きながら、妹を育てることになります。
まだ10代の姉妹の二人きりの生活が始まります
POINT2:ヨウムのネネ
理佐が働くことになる蕎麦屋では、毎日蕎麦粉を挽き、新鮮な蕎麦を提供することが売りです。
店から近い水車小屋で、毎日蕎麦の実を粉にしています。
その水車小屋では、石臼の番人をしているヨウムのネネが暮らしています。
3歳程度の知能を持つネネは賢く、音楽が大好きです
理佐の仕事にはネネのお世話も含まれています。
理佐・律の2人の人生の傍にはいつもネネがいて、ネネの存在が支えとなっていきます。
本作は映画や楽曲がたくさん登場します。世代の作品が話題に出てくるか楽しみですね
POINT3:やさしさのバトン
理佐・律の姉妹は周囲の人々に支えられ、生活していきます。
蕎麦屋の石田夫妻、近所に住む高齢の画家・杉子さん、律の担任などなど、地域の人々が二人に力を貸してくれます。
時に理佐や律の二人も、彼らのために力を尽くし、互助会が出来上がっていきます。
アパートに到着すると、その場にいる全員で、ミシンとその台に群がるようにして持てるところを持ち、部屋の中に運び込んだ。重そうに見えるけど、何人かで持つとぜんぜん重くなかったね、と律が言っていたことが、理佐はなぜか長い間忘れられなかった。
『水車小屋のネネ』pp.178-179より引用
ネネとの関わりを通して、姉妹は成長し、人が去っては集まり優しさと幸せの連鎖が繋がっていきます。
家族じゃなくても、自分のことのように支え合える絆を持っていることは素敵だな。
自分が与えているようで、与えられていて、逆に与えられているようで与えてもいるんだね。
『水車小屋のネネ』の感想・まとめ
- ハートフルストーリーが好きな方
- ほっこりするお話が読みたい方
- 昭和から令和にかけての時代を振り返りたい方
- お蕎麦が好きな方
今回は『水車小屋のネネ』をご紹介しました。
本屋大賞2位に選ばれるに相応しく、心があたたかくなるお話でした。
約500ページという長編ですが、姉妹の生活が気になってスラスラ読み進められます。
本作を読んだ後は美味しいお蕎麦が食べたくなりますよ。
ぜひ『水車小屋のネネ』をチェックしてみてください。
書籍情報
書籍名 | 水車小屋のネネ |
著者 | 津村 記久子 |
出版社 | 毎日新聞出版 |
ページ数 | 496ページ |
発売日 | 2023/3/2 |
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